行ってきました、福岡初日。
今、経済的な事情でごうくんのFCに入れてないので、TBSチケットなるものを使って取ってみた。
後方だったけど、1階席だった。
TBSやるな。
久しぶりのキャナルシティで、物珍しくいろいろウロウロしてて、
私が入場したのは結局開演約30分前。
そのころにはすでに11/3分の白い馬グッズは売り切れ。
…デスヨネー。
パンフも結構並んで買った。
相変わらず…森田剛ファンスゲーな…。
※ここからネタバレですから未見の方はご注意ください。
それでいて、舞台ならではの脚色がされていて、割と楽しかった。
…まさか、イプセンの演劇の感想で、「割と楽しかった」と書くことになろうとは。
モルテンスゴール役谷田さん言
『難しいことを言っていると思うかもしれないけれど、皆さんのほうが私生活でもっと難しいことを言っているし、考えているでしょ?と。本当にそう思うので、心を楽にして劇の世界に身をゆだねていただきたいと思います』
『ロスメルスホルム』パンフレットより
ウルリック・ブレンデル役櫻井さん言
『お客様は難しい舞台だと思って観に来られるかもしれませんが、大丈夫。思ったよりも気楽に、今の感覚で、ご自身の等身大の物語として受け止めてもらえるんじゃないかなと確信しています』
出典同上
…どれだけ「難しい」「難しい」言うねん(笑)。
それだけ、イプセン=難解というイメージがついているんだろうなぁ。
確かに簡単にプロット読み切れる作風ではないしね。
原作読んでる間、ほんと、しんどかったし。
でも今回の舞台「割と楽しかった」と書けたのは、ひとえに、櫻井章喜氏版ウルリック・ブレンデルのおかげなんだよ!!!
もともと破天荒な役ですよ?
ですが、あんな、あんなコメディアンにしてよかったのか??!!
イプセン、墓から起き上がってこない?大丈夫?
いやー、ありがたい。
ブレンデル出てくるまで、薄暗い部屋のセットに圧倒されて、ガッチガチに固まってた私の肩の力がすぅっと抜けたよ。
聞いて驚け。
あろうことか、櫻井ブレンデルに、森田剛演じるヨハネス・ロスメル(以下ロスメル)が抱え上げられて、机の上に載せられるシーンがあるのです!!
え?!
どういう文脈?!原作にはもちろんこんな描写はひとっつも出てこないよ!(笑)
ブレンデルにひょいっと抱えられても、あわてず騒がず、されるがままで、チョンと机に座ってる森田ロスメル。
超、カワイイ!
マスコット化希望!
いやあ、これ、観られただけで、チケットの元、取れました(笑)。
V6フォエバコンで「まっすぐ立って」岡田准一に抱えあげられるのを待って、手乗り文鳥ならぬ肩のり文鳥になってニコニコしてる森田剛をうっすら思い出したよね…。(涙)
櫻井ブレンデル、森田ロスメルだけじゃなくて、浅野さん演じるクロルや三浦さん演じるレベッカとのかけあいもバッチリで、さすが。
おかげで、一幕は、思ったより深刻にならず、観られました。
…問題は、第二幕ですよ。
原作を読んで行ったから、もう結末はわかってるの。
わかってるけど、それでも、最後の運命が変わることを、必死で祈った。
…変わらなかった。
変わらなかったよおぉぉぉ…(涙)。
原作に忠実ってことで、ただしいんですよ?ただしいんですけど。
でも、この劇中だけでも、ロスメルとレベッカに幸せな未来を予感させてほしかった…(ワガママ)。
三浦レベッカの、森田ロスメルへの積もり積もった欲情の発露のシーン。
息を呑んだ。
すごい、役者さんだなあ、三浦透子さん。
ごうくんは、役柄のせいもあり(名家の生まれで苦労知らずで奥さん自死のショックのあまり引きこもり。しかもそもそもロスメルさんちは生まれてからずっと笑わない家系)、終始おさえた演技が続く。
それが、さらにレベッカの常軌を逸したロスメルへの恋情を引き立ててる。
いやーすごい。
個人的にレベッカの台詞に、とてもドヤされました。
『臆病者!死人に支配されたままでいいのかこのヤロウ、いま、生きてることを、楽しめ!』
(ごめんなさい、こんなべらんめえなセリフではありません。雑な要約です。悪しからず)
何度も、レベッカの台詞に『罪悪感』『罪悪感』でてくるので、途中から心の中で「イプセンやりながらドフトエフスキー(『罪と罰』)もやんのか?ゼータクだな」とちょっと思った。
笑えないけど、レベッカに挑発されて、ムリヤリ笑おうとするロスメル。
でも笑えなくて、俯いて顔を片手で覆うロスメル。
…さすがに、このときばかりは、ロスメル、かわいそうだった。
レベッカの言う通り、臆病者でいくじなしだけど、やっぱり森田剛が演じてるから、ちょっとロスメルの肩もっちゃう。だってあきらかに肩落としてしょんぼりしてるんだもん…。
終始おさえた演技のごうくん、2回くらい爆発シーンがあるんだけども、
そのうちの1つが、なんか、奇跡だった。
ごうくんが『おら、こんな暗い家いーやだ!』とダダこねモードになり、爆発して、花瓶の花を、壁にかかった歴代の先祖たちの肖像画に向かって、思いっきり投げつけるシーン。
偶然、一つの肖像画に、花が引っかかるの。
それがすごく印象的だった。
最後まで、そのままだったね…。
最後、運命変わらなかったけど、レベッカの手にキスする森田剛に、心の中でガッツポーズした。
え、カッコいい…。
惚れる。
それにしても、最後の最後でいきなりベタな純愛にギア切り替えたのは、なんだったんだ…笑。
突然シェイクスピア風味(『ロミオとジュリエット』風味)はびっくりするぞ。
一つの劇で、イプセンとドフトエフスキーとシェイクスピアの合わせ技はしんどいぞ。(個人の感想です)。
今回、照明・舞台セットともに、非常に好みでした。
スタッフさんたちも優秀な方たちを集めてるんだなぁ。
演劇界、コロナ不況からまだまだ立ち直れてないと思うけど、オタク頑張るから、次回も舞台よろしくお願いします。